マキノの庭のミツバチ日記(3)

本、ミツバチの会議 2

ミツバチの会議は踊る

大寒も過ぎた日、久しぶりにマキノらしい雪景色になり、冷たい風が吹き荒れた。記録的な寒さとの予報なので、私は巣箱が心配。「箱にホッカホッカ懐炉を貼ってやろうか」などと言っては、「過保護ジャ!」と家族に阻止される始末。幸い数頭の犠牲者が運び出された程度で、巣箱は持ちこたえてくれた。

そんな寒い冬の夜は、気に入った本を炬燵に持ち込んで過ごすのが私のやり方。これまでで最も夢中にさせてくれた冬のお相手の1冊、それはシーリー博士の『HONEYBEE DEMOCRACY』(2010年)という本だ。2013年に日本では『ミツバチの会議』(片岡夏実訳)というタイトルで築地書館から出版されている。

ミツバチが会議みたいなことをするのを発見したのはリンダウアー博士だった。彼は、ミュンヘン大学構内の木の枝に蜂球ができ、8の字ダンスをするハチをたまたま見つけた。それは戦災の傷跡が生々しい1949年のこと。そのダンサーの体に煤(スス)や赤レンガの粉が付着しているのを彼は見逃さなかった。焼け跡や崩れたレンガ塀にできた隙間、つまり居住空間、を見つけて仲間に報告しているのではとヒラメイタそうだ。よくぞ気がついたものだと感心する。ミツバチ一家の新住居引っ越しでは、複数の住居候補から多数決方式で1つを選定するという合意形成の発見に、この観察がつながっていった。

シーリー博士はそのすごい研究を引き継ぎ、ユニークな実験でさらに発展させた。彼は4000頭ほどのハチの背中に番号シールを貼りつける難行をやり遂げた。それによりミツバチ王国にいち早く「マイナンバー制」を導入し、ミツバチ・アマゾネスたちのプライバシーをビデオカメラに盗撮(?)することができた。こうして新住居候補についての情報交換とフィードバック、最適地選定(いわゆる投票行動)の過程が明かされた。本で私が特に面白いと思ったところは、「ハチから人類が学ぶべき民主主義のレッスン5か条」。

レッスン1:共通の利益を目指し、相互尊重のもと、皆がまとまって意思決定グループに仕上がるよう努力すること
レッスン2:グループの思考にリーダーは影響力の行使を最小限に止めること
レッスン3:問題に対するさまざまの角度からの答を幾通りか用意すること
レッスン4:議論を通じてグループの知識を煮詰めること
レッスン5:団結・正確・迅速のために定足数応答を活用すること
(訳文はタイサク)

民主主義に長けているはずの人類、たとえばわが日本の人々、でも合意形成で政府と国民との間の亀裂が顕著になっている。昨秋の国会周辺のニュース映像で「デモクラシーってなんだ? これだ!」と叫ぶSEALDSの若者たちが、ミツバチの群れの様子に重なって見えたことを想い出す。私たちもミツバチに笑われないようにがんばらなくては!(タイサク) 

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