マキノの庭のミツバチ日記(16)

働きバチはよく眠る

昼間、花蜜や花粉を探して飛び回る働き者のミツバチは夜も寝ないという話をよく聞く。だが、働きバチについていえば、実は夜にはよく眠るらしい。あたりが暗くなると巣箱の出入りがなくなり、静かになる。のぞき窓から見ていると、たしかにじっとしているものが多いが、体を動かしたり、触角を動かしたりするものもいる。

ミツバチははたして眠るのだろうかと、いろんな人が研究をしてきた。ガラス張りの巣箱での暗視カメラ(赤外線を使い暗闇でも見える)による観察では、真夜中でも働いている蜂がいるそうだ。それは主に内勤をする若い蜂たちで、巣作りや外勤のミツバチが集めてきた花蜜の濃縮、室温維持、子育てなどにあたっている。

ところで、眠るのと休むのとを区別できるのだろうか。人の場合は、意識を無くした睡眠状態の脳を脳波計でもって調べることができる。睡眠状態には段階があるが、それは脳波のアルファ波の減少やデルタ波の出現の割合などで判定されている。ミツバチ(この場合はセイヨウミツバチ)を調べるのに脳波をとるのはむずかしいので、ミツバチの脳の視覚に関与する神経細胞にごく細い電極をあてて、神経の電気的活動状態をモニターした研究がある。それによると、夜が更けるにつれ神経の活動が弱まり、真夜中には最低のレベルに落ち着く。朝になると再び活動がしだいに盛んになる。

働きバチの首の筋肉にも針状の電極をあてて筋肉の活動をモニターする方法(筋電図法)もとられている。人の場合でも、オトガイ(あご)筋電図が睡眠の深さを見るのに使われている。ミツバチでも夜になるにつれ首の筋肉の緊張がゆるくなりやがてがっくりと頭を垂れるという(まるで人みたいだ!)。また、腹部も腹這い状態になり、触角の立て方も変わり次第にだらしなく垂れさがるとか。

若バチは熟年の蜂とは異なって、サーカジアンリズム(概日リズム、活動周期がほぼ24時間)がまだ確立していない。眠り方のちがう若バチと熟年バチでうまく役割分担しているのだろう。だから、昼間に大活躍して今や眠りこけている外勤姉さんたちにかわって、若バチたちが巣箱不夜城のなかで夜勤につく。むろん2、3時間ほど働いて疲れたら適当に短時間の休みをとる。

昨年の夏のことだが、夜12時を過ぎて私がそろそろ眠ろうかと思ったとき、窓ガラスに1頭のミツバチの訪問客があった。ジリジリと音をさせながら盛んに飛び回っていた。今頃なんだろう、えらく宵っ張りな蜂だと思って見たことが2、3日続けてあった。今思うに、あれは若手のミツバチが近くの巣箱からやってきたのかもしれない。そういえば飛び方もたどたどしかった。(タイサク)
<このミツバチ日記も、秋ごろまでしばらくスリープ(お休み)します>

眠る働きバチ(挿絵)


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