マキノの庭のミツバチ日記(28)

巣門での争い(盗蜜バチが出現)

ニホンミツバチの巣箱では、暑い日には巣門付近にたむろする夕涼み集団が見られる。今日はなんだかその連中に落ち着きがない。近寄ってみると、あちこち数か所でミツバチ同士が争っている。激しいところは取っ組み合いみたい。組み討ち中の一組では、ついに一方が相手を大あごで噛み殺した。倒れた相手を抱え込んで遠くに放り出しに行くものもある。地上にはあおむけになった死体が5頭ほどころがっている。目ざといアリにすでに取り囲まれた亡骸もある。まるで戦場みたい。形勢は巣箱守備隊のほうが断然有利の模様。

最初は、セイヨウミツバチによる盗賊行為つまり盗蜂(盗蜜)かと思った。だが襲ってきたハチの体が巣箱の連中とよく似ていて、どうも同じニホンミツバチのようだ。念のため盗賊を捕まえて、後ろ翅の翅脈(しみゃく)をルーペで拡大し観察したところ、H字型の交差があることからニホンミツバチであると確認した。写真はまだバトルが収まってないときのもので、右上方では後ろから乗りかかって攻撃しているものが見えるし、左側でも取り囲まれたのがいる。だがこの時点では大勢が決していて、残念ながら迫力を欠いた写真しか撮れてない。

養蜂家は盗蜂といったり盗蜜といったりする。本来「盗蜜」という語は広い意味があり、花粉の媒介サービスを伴わずに花蜜を奪取することを言う。それをやるのが、鳥ではスズメ、昆虫ではアリやチョウ、特定外来生物指定で知られるセイヨウオオマルハナバチなど。しかしミツバチ同士であっても、場合によっては他の巣から貯蜜を失敬する。特に花蜜不足の頃には起こりがち。

セイヨウミツバチがニホンミツバチを襲うという話はよく耳にする。体のサイズがやや劣り性格的にも大人しいニホンミツバチが劣勢に立たされ、戦意すら失うと言われている。だが、蜜が十分に確保できる季節だと、そんな争いは少ないらしい。実際、私も双方を春頃に同じ庭で同時に飼ったことがあったが、お互いに侵略することはなかった。

今、庭にいるニホンミツバチは数も多くガードもしっかりやる強群で、なかなかスキをみせない。盗蜜となると後続部隊がまだ来るかもしれないと思い心配したが、その内に紛争は収まった。どこかの弱小コロニーが崩壊して、迷いバチが入り込もうとしたのだろうか。だが経験者によると、優勢な盗蜜者はしつこくて被害の側は壊滅に至るほどらしい。巣箱を遠くに移すか巣門を数日間閉じるなどの対応策が語られている。

夏枯れで花不足が心配だったが、近ごろになって巣箱の出入りが活発になった。空中の見えない回廊はラッシュを思わせるくらいになっている。持ち込まれる花粉は黄色のものが多い。散歩に出たときに偶然見えたのは、県道の両側に華やかな列をなすピンク色の街路樹。百日紅(サルスベリ)の木で、今や満開であった。その中の花に寄るミツバチやマルハナバチを見つけた。ニホンミツバチにとっては夏場の貴重な花粉源である。この時期、ヒマワリやキンカンがあればとても良い蜜源にもなる。これらの蜜源・花粉源をうまく分け合って仲間同士の争いをなんとか避けられないものだろうか。動物でも暮らしを全うするのはなかなか楽ではないなーと、ミツバチの日々の様子を見て思うことが多い。(タイサク)
 

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