マキノの庭のミツバチ日記(37)

ミツバチと冬の虹

今年の三が日は天気が良くなかった。3日の朝は雪で、ときには曇り空。寒い冬
場ではミツバチは巣箱にこもってしまい、出入りが目立たなくなる。その静かな
巣門に巣屑(すくず)を出しに出たミツバチ1頭がいた。そのハチと目が合った
(?)とたんに急発進のスクランブルをかけられ、私はしつこく追いまわされる
はめに。追われたのはその日で2回目。初めの時は、箒(ほうき)で巣屑を払っ
てやろうと寄ったときに、たまたま出てきハチさんとぶつかりそうになった。思
わず腕を払ったところ、怪しいやつと思われたのか、まとわりつかれ走って振り
切ったのだった。冬は気が立っているので巣に近づくなとよく言われる。

7日、一時的に晴れ。朝、命失われたハチの体が15頭分ほど巣箱の外に放り出さ
れていた。巣の内から飛び出して亡骸を抱えて行くのもいる。途中で重さに耐え
られなかったのか一旦は地面に下りたが、気を取り直したようにまた抱きかかえ
て遠くに運んでいく姿もあった。巣門付近のテラスでは巣屑の掃除も盛ん。巣屑
をくわえてテラスをちょっと飛んで、外に放り出すとU-ターンで巣の内に戻って
いくのが数頭。驚いたことには外から白い花粉を持って帰った働きバチがいたこ
と。今咲いている白い花粉の花はなにだろう?昼過ぎ3時近くで「時騒ぎ」(*)
がみられた。気温を測ったら摂氏7度付近であった。

9日。前日は雨やアラレの寒い1日だったが、今日の気温は8度くらいでときど
き晴れ間も出る。働きバチにとっては、冬ごもりで待機の後の待ちに待った掃除
日和らしく、巣門にたくさんの巣屑を出していた。巣の側面に貼り付けた発泡ス
チロールの真白な表面に、ところどころ黄色いシミが付いている。じっと我慢し
て腹に溜め込んでいたのを手近なところで排泄したらしい。

午後になって時雨(しぐれ)、ときにはアラレが降り、しばらくして晴れ間から陽
光がさす。それも15分ばかりでまた雨。この繰り返しのように目まぐるしく天
気が変わる。その晴れ間の見えたとき、巣箱の向こうに虹が立っているのが目に
入った。秋から冬にかけて「高島時雨」と呼ばれる天気の頃には、市内によく鮮
やかな虹が見られる。

虹の半円がまるで巣箱の裏から華やかに立ち上がるふうに見えた。それが気に入
って写真を撮ってみたが、残念なことに虹の色が薄くてはっきりしない。しゃく
だからスケッチにしようと思ったが、これもうまく描けなかった。色鉛筆なんか
で虹をきれいに描こうとするのはかなり無謀なことと思い知った。

その時思ったのだが、ミツバチにこの虹の色はどう見えるのだろうかと。ミツバ
チの色覚からすると、虹の環の外側にある赤色帯はほとんど分からない。その代
わりに、波長が短すぎて人には見えない近紫外部の光は、環の最も内側(紫色帯
の隣)に並んで、現実の色として見えているはずだ。紫外線の色がどんな感じの
色に見えているのかは我々には知りようがない。ミツバチたちも虹を眺めて、き
れいだなんて思うことがあるのだろうか。(タイサク)
(* 時騒ぎ;巣箱に向かい10数頭ほどがホバリングしながら飛んだり、あた
りを探るように飛びまわったりする現象で、短時間内に終わる。若バチの飛行訓
練だといわれる)

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