マキノの庭のミツバチ日記(41)

春が近寄る日々

2 月の 26 日。朝から晴天。ただし風はまだ冷たく感じられる。数日前まではあたり一面に居座っていた白い陣地は急速に縮小し、次々と黒い地面にとって変わられていく。生き物を育む土の臭いが久しぶりに漂ってきた。気の早いイヌフグリが数個の小さな花を開いている。庭の巣箱では 10°C近くなった昼前からにぎやかな出入りがある。巣箱の入口付近はまるでお祭り騒ぎのようだ。働きバチが次々と飛び出していく一方で、勢いよく戻ってくるのがいる。若手のハチたちはあたりをやたらと飛びまわっている。少し前までは、氷点下の寒気の元で熱を生み出すために必死に使った飛行筋だが、今や翅に連結され自由に空を飛びまわれる。 それを喜びはしゃぐように見えるのは、私の気のせいだろうか。花粉の持ち込みがいつもより多く、帰還のハチの半分以上が黄色や白の花粉の塊を後肢バスケッ トに抱えている(写真1)。タンパク源である花粉を十分に確保できて、女王バチも本格的な産卵態勢に入ったのだろう。

ブッブッという羽音を、ミツバチが巣箱から飛び出すときや巣門到着を前にして発することがある。遠くでバイクのエンジンをふかしているとき聞こえる断続的な音に似ている。これまでに飼ったコロニーでは、静かに出入りするものたちが 多かったと思うが、今回の働きバチたちは掛け声みたいに音をたびたび出すように思えた。興味を感じて、とりあえず音声レコーダーに録音した(後ほど音声解 析ソフトにかけるのを楽しみにしつつ)。

昼からは知内川に沿って約 1 時間の散策に出た。ついでに、ミツバチを喜ばせるような花がどこかにあるのか確かめたい気持ちもあった。なかなか花らしい花を見つけられなかったが、我が家から約2キロ離れた下開田の道路脇に赤い花が盛 んに咲いているのに出会った。山茶花の垣根だ(写真2)。ただし採蜜中のミツバチは見つけられず。川沿いに戻って神社の近くの梅林を見たが、まだどれも硬いつぼみのままだ。百瀬川岸に来た時、民家の庭に蝋梅が咲き始めていた。そこに一匹のアオバエが来て熱心に採蜜していった。ハエにとっても花蜜は大好物。だがウチのミツバチ連中はどこに通っているのか、結局は分からずじまい。

28 日。昨日に続き今日も晴天。気温は昼頃に 10°Cを超えた。働きバチは相変わらず熱心に飛んでいる。帰りは主に西と北の二方向から戻ってくる。北の方角に思い当たる所があった。コンビニの裏の通りにも山茶花が咲く垣根があると妻 Y が言っていた。そこかもしれないと、自転車で探しに出かけた。住宅街の垣根や庭先をキョロキョロと見ながら、自転車でノロノロと回ったり、時には停車して一点を見入ったりした。不審者か徘徊老人に間違われかねない有様だったが、幸い何事もなし。ただし残念にも、山茶花などの蜜源に採蜜しているところを今日も見出せなかった。大量の花蜜や花粉を一体どこから運び込んでいるのだろうか。 (タイサク)

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