マキノの庭のミツバチ日記(43)

ミツバチ(そして人も?)踊る春

長いこと頑固に閉じていた庭のサクランボのつぼみが一斉に開き始めた。そしてついに私が待ち望んでいたその日が来た。その望みというのは、サクランボの木の花々にウチのニホンミツバチたちが群がって採蜜してくれる様を目にすること。そしてその羽音の弦楽重奏曲を聞きたいということだった。この日、20頭ほどのニホンミツバチがてんでんばらばらに樹冠に入り、花を次々に移っては頭を突っ込み忙しくしている(写真)。少し興奮気味で楽しそうにさえ見える。しばらくすると、すぐ近くの巣箱に直行するものもいる。おそらく満タンの腹を抱えていたのだろう。私は脚立を持ち出して木の傍に寄り、カメラで採蜜の様子を撮りまくり、新たに買った音質の良いボイスレコーダーで羽音を録音してまわった(音声解析にかけるつもり)。

この良き日、もう一つ期待していたのは、ミツバチの未来(それは人の未来にもつながる)に関わることであった。EU(欧州連合)でネオニコ系農薬3種類の恒 常的禁止の可能性がいわれてきた。EU 執行機関である EU 委員会が、その投票 を今日(22日)に行うのではとの外国からの報道があったので気になっていたのだ。EU ではネオニコ3種類について、2013年12月以来既に3年以上の使用規制措置がとられている。その暫定措置では途中脱落していた英国までが、今度は禁止賛成の側に回るという。

つい先月の28日、EUの食品政策に大きな影響力をもつ欧州食品安全機関(EFSA) が、ネオニコ3種類について、受粉を媒介するさまざまのハチ類に高いリスクが あるとする総合評価の結果を公表した。EFSA は、千5百ほどの論文を精査し、 環境汚染の推定値はミツバチにとって高リスクであると結論づけたのだった。このこと自体はネオニコ問題での大きな進展と思えるが、例によって日本国内ではまともな報道が少ない。

ところが禁止への期待を裏切るニュースが入ってきた。決定権を持つEU 委員会 (加盟各国の代表からなる)では、この22日、23日にネオニコ禁止を投票に付す予定がないという。これまでも昨年12月に投票されるのではとの観測があったが実現していなかった。農薬の巨大企業によるロビー活動が激化しているとも聞く。EU委員会の委員の間にも自国の事情があるだろうが、先延ばしにすべきことではないのでは?

投票といえば、ミツバチは新居候補地のうちから最良のものを8の字ダンスのコンテストで選ぶことができ、それは動物の投票行動の一つに数えられている。活発に採蜜をする働きバチを見るうちに、彼女らに「ネオニコ禁止の賛否」を問うことができたらきっと問題なく「賛成」が満票になるだろう、などと空想をしてしまった。それにしても人間の社会はあまりにも複雑化しすぎている。(タイサク)

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