マキノの庭のミツバチ日記(48)

分蜂祭を終えて宿題もらう

春の分蜂(巣別れ)の時期も終わった。今年の春3回の分蜂は、個人的には年に一度のワクワクするお祭り騒ぎだった。だが後に気になることがいくつか残され た。

1つは、分蜂と音の関連についての関心が呼び起こされたこと。セイヨウミツバチでは、羽化したときの新女王の鳴き声が次の分蜂開始を知る手掛かりになるらしい。最近、ハチ友の井上さん経由で、友人の養蜂家が記録した処女王バチの鳴き声の貴重な録音コピーをいただいた。そのセイヨウミツバチ女王は、鶏の鳴くようなかん高い威圧的な音を発する。シーリー博士の本(*)でも、最初に羽化した処女王がプープーと高い音で鳴き、まだ王台の中にいる妹がガーガーと低い音で応えるとある。この姉妹の間の「会話」のあと、平和な巣別れ(第2分蜂など)に至ったり覇権を掛けた身内殺戮になったりするというドラマチックな展開は、多くの人に語られてきた。

今回の分蜂時に巣門付近でマイクに拾い集めたにぎやかな音には、普段と違う高い音(高周波)が乗っているように思えた。シーリー博士の本にも、分蜂への飛行に備えて、働きバチが高い音を出して周りの者たちを飛行態勢にもっていくといった記述がある。先の女王の鳴き声のような情報は望むべくもないが、分蜂の真最中の音データの解析は、時間がかかってもやってみたい。

2つ目は、出て行った分蜂群の「その後」について思うこと。三女にあたる新女王が受け継いだ「本家」巣箱は、今のところ安定している。盛んに花粉を抱えて働きバチが戻っているので、産卵が順調のようだ。もちろん、婚姻飛行も無事終えたのだろう。この時期はツバメの活動も盛んで、ミツバチは格好のエサであり、 特に飛び方の遅い女王は捕食される危険がある。女王がツバメに捕らえられれば もうコロニーは続かない。ツバメさんたち、どうぞお手柔らかに!

今回の分蜂群でその行方がはっきり分かっているのは、前に書いたようにミツバチまもり隊小織さんの家に引き取られた一群。既に分蜂時から3週間は経っている。その巣箱の中の様子が分かるメールが送られてきた(写真=分蜂から1週間 の時点のもの。小織氏による)。巣箱の下方からスマホを入れて撮影したもので、鮮明に撮れている。中央付近に黄色の盛り上がりがあり、巣板がかなり出来ているのが分かる。群れの中にところどころ黒い腹部が見えるのは雄バチ。女王の姿が見えないが、産卵で巣の奥に入り込んでいるのだろう。我が庭から出て行った群れでも、このように消息が分かり成長を見ることができるのは楽しい。

巣別れで出奔し行方知らずのものたちはどこでどうしているのだろうか。出て行った方向としては北の方というのが大体は共通している。その方向に山があるのでそこに行ったのかもしれない。だが、町の中に留まっている可能性もある。マ キノ町海津では、数年前のことだが、空き家の縁(えん)の下にあったニホンミツバチの自然巣を熊が襲ったことがあったが、空き家のため発見が遅れた。県下でも近年は空き家が増えて管理上の問題になっているところもある。人の干渉がなく荒廃していく家屋はミツバチにとって都合よい隠れ家だ。近ごろでは、空き家(特に廃屋)の前を通るときには、ミツバチの姿がないかとつい熱心に観察してしまう。(タイサク)

<* シーリー(片岡訳)『ミツバチの会議』築地書館>

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