マキノの庭のミツバチ日記(65)

蜂蜜の残留ネオニコ分析

8月に、ある食品検査機関に自家製蜂蜜 75グラムを送って、残留ネオニコ系農薬の分析を依頼していた。検査費用は私のささやかな小遣いをはたいての出費だったが、気になっていたことを払拭したかった。というのは、前にも日記に書いたが、一部の市販蜂蜜にネオニコがわずかながら残留しているという新聞記事を読んで、我が家の庭のニホンミツバチの巣箱から採取した蜂蜜に残留していないか、確かめたかった。

9月中頃にその蜂蜜の分析結果として 1枚の検査成績書が送られてきた。アセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフランなど 7種以上のネオニコ系農薬と代謝物について、いずれも蜂蜜中で 0.01 ppm 未満(*)とあっ た(写真)。国の残留基準をクリヤーしているので、食品として一応安心というところ。調べてもらったサンプルは 5月に採取して保存してきたもの。8月初めのネオニコ空中散布の後では採蜜していないが、それだとまた違う結果になったかもしれない。

ただ、今回の検査自体にも不満が残った。検査報告書にはエビデンス(分析データーなど)が全く添付されていなかった。分析結果のクロマトグラム(溶出ピークなど記したチャート)のコピーも見たかったのだが。検査に使用したとされる液体クロマト/タンデム MS 法は精度・感度が優れていて 1 ppb(0.001 ppm)の 下まで分かるといわれる。たとえば人尿中のネオニコを測ったという学術論文にこの測定法は採用されている。

ミツバチが日常的に摂食する蜂蜜中に、もしネオニコが ppb 程度のごく薄い濃度であっても含まれていれば、コロニーに悪い影響が出ることもあるという報告がある。私もニホンミツバチを飼っているので、検査において ppb の桁で具体的数字が出ているならば知りたいところであった。

分析元に電話で問い合わせて返ってきた説明では、測定の際に 0.01 ppm 未満の測定値の場合は生の数字を出さない設定になっているとのこと。その測定器の精度から見て当然もっと下の値まで示されると思っていたのが甘かった。依頼する前にその検出下限なり定量下限の値がどの辺に来るのかを聞いておけばよかったと悔やまれる。

蜂蜜は食品として一応安心といったが、他方で、国の現在のネオニコ残留基準が妥当かどうかで異論も出ている。ネオニコのような人(特に子供)への DNT(発達神経毒性)のリスクが疑われる新規の神経毒を扱う場合には、慎重さが求められる。最近、国内の残留基準に変更があり、アセタミプリドが 0.2 ppm と大幅に緩和されたこと(他のネオニコ系は依然そのままの 0.01 ppm)を知った。実際のところアセタミプリドについては上げざるを得なかった事情が、厚労省そして養蜂関係の業界の一部にもあるのかもしれないが。

しかし消費者の立場からいうと不安が残る。厚労省が残留基準を緩める方向に向かう(例によって?)のは、本末転倒ではないか?欧州(EU)などのようにネオニコを禁止ないし規制する方向に動くべきだと思うのだが。1検体を 2万円前後で測れるなら自治体や実力のあるNPOあたりではそれほど大きな負担ではないだろう。どんどん蜂蜜に限らず食品を検査して結果を広く情報提供してほしい。 (尼川タイサク)

(*、ppm=100 万分の1。1 キログラムの重量当たりでいえば 0.001グラム)

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