マキノの庭のミツバチ日記(69)

スムシ侵入を疑って巣箱を開けてみた

10月29日、庭にただ一つ残る重箱型巣箱を開けてみた。7月に分蜂したニホンミツバチが入った巣なので箱を開けるのは早過ぎる。だが数日前に、巣箱から腐りかけの果物のような臭いがするという妻Yの話と、サナギをいくらか運び出しているのを見て、スムシの侵入を疑うようになったからだ。スムシはツヅリガなどの幼虫で、ロウで出来た巣板をかじることで巣を崩壊させるミツバチの大敵だ。これまでも何度かその被害にあった箱を見たが、巣板が黒くドロドロに溶かされ悪臭を放つ様は思い出したくない光景だ。

いざ箱を開けて見てみるとスムシの姿はなく、その活躍した形跡もない。写真1に見えるのは1段目の箱枠の下側で、見やすいように一部の巣板を取り除いている。まるで霜柱のような巣板の断面も見えるので巣の構造が分かり良い。網目状に見えるのは巣房(小部屋)の並びでハニカム構造になっている。奥の方は貯蜜域で、やや薄いクリーム色のフタ(蜜ブタ)で覆われた部分には蜂蜜が巣房にたっぷり詰めこまれて貯えられている。

中央部で巣房に濃い黄色のフタがされているところは育児域の上端らしい。白いサナギが巣房にいくつかいるのが見える。ピンセットで取り出してみると確かにハチの児だ。すえた臭いがするというのはこのサナギのせいかもしれないと始めは思ったが、腐敗は見られず。

2段目の箱枠に広い育児域があるようだったが、巣板を取り出して調べるところまでやらなかった。情報不足であるがこのコロニーの存続を思ってあえてその程度で止めた。他に目立ったのは、まだ十分には飛べないような若バチが多いこと。ひょっとしたら、中堅を担うべき働きバチの生育が遅れるなど何らかの問題があったのかもしれない。巣枠から離れないし動きが未熟だ。地面に振り落としても仲間で集まってウロウロしたまま。しばらくすると飛ぶというよりのろのろ歩いて行き最後には列を作るかのようにして巣門から中に入っていった。

異臭のことをハチ友の井上さんに電話で相談したところ、セイタカアワダチソウの持つハーブの濃厚な臭いが異臭のように感じられるのではといわれた。皮肉なことに「ミツバチ日記」前号(68)で、セイタカアワダチソウが我が家のハチたちの主要な蜜源だなどと、持ち上げて書いたばかりであった。ニホンミツバチの集める蜜は百花蜜といわれさまざまの花蜜を含むが、今年は酷暑で強烈台風の襲来も相次ぎ、ハギのような花々が少なかったり咲いている期間が短かったりであった。結果として旺盛に咲くセイタカアワダチソウの花蜜の比率が大きかったのかも。

とはいえ、箱を閉じて数時間経過した時には特に何事もなかったようにハチの出入りが戻り、花粉もそれなりに運び込んでいた。ハチの総数は幾分減っているようだが、巣板下部を覆うくらいはある。それで、しばらくは様子を見ることにした。巣箱は箱枠 2段プラス台座となり、余計な空間を省いたので越冬に適した状態になった。取り出した 1段目箱枠から蜂蜜の回収をしたが、1キロちょっとしか採れず、まだ強い匂いも残っていた。巣板の欠けらは庭の隅でミツバチたちに戻してやった(写真2)。だが、臭いに惹かれて他のハチが収奪にくる盗蜜の兆しもあったので、翌日からは薄めた蜂蜜液を給水器で巣箱内に直接与えることにした。(尼川タイサク)

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