マキノの庭のミツバチ日記(93)

梅雨時に出会った「晴れない」ニュース

遅い梅雨入りになって 2 週間以上になる。庭の草木が茂り、アジサイの花が空間に出しゃばってきて、ミツバチの飛行ルートが脅かされる(写真)。たいていのミツバチは、空の高いところからダイビングするかのようにして巣に戻っている。ミツバチは額アジサイの花に採餌に来るということを聞くこともあったが、ここでは全くその気配はない。それでもどこからか花粉を調達して帰ってくる。

雨が降り続くと箱の中の湿度も高くなり不快指数(ハチにもあるとして?)も上がっているのではと心配になる。空に晴れ間が現れると寸刻を惜しむかのように働きバチが出入りし、また雨が多少降っていても勇敢な働きバチは飛び出していく。だが、さすがにまとまった雨が続く限りは、大勢での籠城を強いられている。 以前のことだが、飼っていたニホンミツバチが長雨の後で逃去(コロニーが丸ごと逃げること)したことがあった。それで梅雨はいつも気になる季節である。

何日も続く雨模様で私自身も外に出るのが億劫になるこのごろだ。それでネットをブラウズしていてさらに気持ちの晴れないニュースに出会ってしまった。それは「abt 助成先情報」に出ていた記事。abt(アクト・ビヨンド・トラスト)は環境問題に取り組む個人や団体に助成を行っていて、「ミツバチまもり隊」の小織隊長も 2015 年度の「広報・社会訴求部門」で助成を受けている。私が見た記事とは、ミツバチ減少の主因に挙げられている農薬ネオニコの人体影響についての最近の研究成果を紹介したものだ。

その研究グループが化学分析を行った報告によると、もはや国内でも食品を通して広範に人の体がネオニコに汚染されているらしい。母体や幼児(新生児を含む) の尿からネオニコ(あるいはその代謝物)が検出された。興味深いのは、ボラン ティアを募りネオニコチノイドを使用していない有機食材を 5 日間および 30 日 間摂取してもらった調査。結果は、日数の経過に応じて体内のネオニコチノイド 低減が顕著だったという。

研究の結果、日本人は胎児期からネオニコの曝露を受けている可能性が高くなった。さらにマウスを用いた実験では、母マウスと胎児を結ぶ血液循環のバリアー (胎盤関門)がネオニコ代謝物の突破を許し母子間の移行が起きているという。

国際誌 Plos One の最新刊(7 月号)にも上記の研究者グループによる研究論文が載っている。

以前、2013 年に欧州食品安全機関(EFSA)が 2 種のネオニコ摂取による子供の脳神経発達障害の可能性を警告した。さらに許容1日摂取量の見直しを勧告し、発達神経毒性の研究への緊急の取り組みを呼び掛けていた。ネオニコが人体内の神経のn-アセチルコリン受容体を阻害することはこの農薬の開発当初から分かっていた。他方、この受容体を持つ神経が胚ないし胎児の頃の神経ネットワーク 形成の役割を担うことは 80 年代頃から明らかになってきていた。今やネオニコが発達障害などで未来を担う子供達に影響する可能性が現実味を帯びてきた。恐ろしいことではないだろうか。

以前からミツバチが身をもってネオニコの害を教えてくれていたのだろうが、人間の社会はそれをあまりまじめには受け止めてはこなかった。今回のように科学的証拠が出ても、為政者や関連する大企業、マスコミの大部分が無視または肝心な部分をぼかすということが続くのだろうか。(尼川タイサク)

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