
ネオニコ散布の季節
8 月5日朝6時過ぎ、やや甲高い機械音を振りまきながらラジコン・ヘリが高濃度の殺虫剤を納めたタンクを抱えてすぐ近くの水田に回ってきた(写真1)。茨城県で有人ヘリが農薬散布の途中で落ちたのは先月末だったか。当市でも 10 年ほど前にラジコン・ヘリが散布用農薬を積んだまま墜落したことがあったので、気が許せない。その時の墜落機が持っていた危険な農薬は回収と後始末で大変だったと聞いている。
私がニホンミツバチを飼っている庭に接する水田については、今年も空中散布対象からはずされたのは有難い。だが、ヘリでの農薬散布は広範囲に及びドリフト (空中浮遊の霧状物質)の影響も無視できない。ニホンミツバチの行動範囲は広いので、被曝リスクが心配。ヘリは人家の近くでもお構いなしに噴霧している(写 真2)。傍の県道に犬を連れた老人が歩いてきたが、オレンジ色の制服の人に止められて引き返していった。

「当日は風向きに注意しますが洗濯物や車両などにかからないようにご注意願います。養蜂をされている方につきましては、散布日程をご確認いただくとともに、巣箱等の管理に注意していただきますようお願いします」と配布ビラにあった。ということはやはり高濃度のネオニコ・ミストが飛んでくるのだ。こんなに気軽に書いているところを見ると、たぶん、やっている人たち自身もこのネオニコの人体毒性には知らされていないのだろう。近ごろでは子供(特に胎児や新生児)の発達毒性の危険性が研究者によって公表されてきているのだが。
ニホンミツバチは農薬特にネオニコ系に対し、特に感受性が高く、薄い濃度でも害を受けるという。今朝散布されたのは、そのネオニコ系農薬の内でも比較的安全と言われていたジノテフラン(商品名はスタークル)だが、それに対してニホンミツバチは最も弱いという。散布過程で生じたドリフトはしばらく空間に滞留する。特にこの日のように無風に近い状態のことを考えると不安になる。
この朝はミツバチが心配で5時に起きた。熱帯夜の夜明けであったが気温は 27 度近くまで下がっていた。ハチたちは巣箱の内に戻っていると思ったが、実際に見に行くと、まだ少数だが箱の外側に止まっている。それを巣箱内に追い込んで巣門を樹脂の網でふさいだ。ハチは通れないが空気の出入りはできる。早朝の採餌から帰ってきたものもいたが見切り発車。締め出された 30 頭ほどの働きバチはしばらく騒いでいたがその内静かになった。さらに麻袋を巣箱にかぶせて、ドリフトが来た場合に備えた。菜園のトマトは採れる分だけ取り込んだ。
近くの水田への空中散布が終わったのが 7 時少し前。だがいつもに比べて短時間で済んだようだ。しばらくは風向きなどをみながら巣箱封鎖の解除のタイミングを待った。8 時過ぎになり思い切って巣門を開いた。今日に限って旅行に出る予定が前から決まっていて、ハチたちのその後を見守ることが出来ず、後ろ髪を引かれつつ家を出た。(尼川タイサク)