植木屋タケさんの蜜蜂日誌200501

5月1日(金) 五月晴れ

GWを迎え、気温もグンと上昇。
ウチの群れはすこぶる元気に働いている。

春の分蜂は計4回を数えた。
(幸運にも不在中に出ていったのは無い、と思う。)
捕獲に3回成功し、
うち2群は飼育を希望する方の元へ。
1群は我が家の新しい家族に。
4群めは自然へと放した。

養蜂はブームと言えるほど愛好家が多く、飼育法についての情報収集サイトは毎日たくさんの投稿で賑わっている。

「巣箱づくりワークショップ」を企画すると人気のイベントになるが、過去の経験から巣箱を作って終わりでなく、その後のフォローまでも含め、継続的なアドバイスの必要性を感じている。
ミツバチまもり隊の限られた人材では非力であるが、できる範囲でやっていこうと思う。

家畜として数千年飼われてきたセイヨウミツバチとは違い、ニホンミツバチは本来、野生の昆虫である。
自然に放すのは良いことのはずなのだが、思い悩むところだ。

「滋賀県高島市は自然豊かなところだ。」と誰もが思うだろう。
山は緑におおわれ、清流が琵琶湖に注ぐ里山をイメージする方は多い。

しかし、野生生物にとって棲み良い場所とは残念ながら言えない。
奥山までスギ・ヒノキの人工林となってしまった暗い森にはエサとなるものが少なく、食べものを求めて降りてくる獣たちは里山の荒廃を招く。

蜜源の乏しい山はミツバチの生息域として好ましくないだけでなく、天然林に多く存在する樹洞が減少したため、巣に適した場所がない。
そのうえ熊に襲われ、生き残ることは難しい。

平野部では市街地を除くほとんどの面積が水田に占められており、農薬・化学肥料・除草剤の3点セットで微生物の死滅した砂漠のような土地である。

田植えの季節になると、代かきのためにその3点セットの浸み込んだ土が琵琶湖へと流れていく。
「母なる湖」もまた瀕死の状態であり、水生生物にも息苦しい環境となっている。

レイチェル・カーソンの「沈黙の春」が出版された1962年以来、地球環境悪化への様々な警告がなされたが、無視され続けてきた。

グローバリズム、マネーゲームに狂奔する人々は、本当に大切なものが何かを忘れてしまっている。

養蜂の主流であるセイヨウミツバチの飼育法はもちろん西洋式なのだが、それは人間による徹底した管理方法である。
病気になった蜂に抗生物質が与えられるのは牛・豚・鶏など他の家畜と同様だ。

養蜂「業」として、営利を求めるのなら、当然の帰結かもしれない。
だが、そうではない生き方も確かにあるはずなのだ。

ウイルスをゼロにまで駆逐しようとする思想が生態系のバランスを大きく崩していることに気づき、東洋的な自然観にもとづいた共生社会を目指していかなければ、人類の未来は開かれない。

自然に放したミツバチたちが無事に生きのびて欲しいと心から願う。
そして野生生物が、みずから子孫を増やせる心地よい環境に戻すのが、悪行を働いてきた人間の償いであると思う。。

(気まぐれ不定期連載、次回に続く。)

植木屋タケさんの蜜蜂日誌200501」への2件のフィードバック

  1. いつも楽しく拝見しています。
    ミツバチの動画は飽きないですね。
    小さくて可愛い日本ミツバチを見ているとほっこりします。
    私は草津にて日本ミツバチを何とか招き入れたいと頑張っていますが思うようにいきません。
    近くに日本ミツバチの住処がないのかも。
    今年も空振りのようです。
    高島はやはり自然が豊かなのでしょうね。4群も来訪とは羨ましいです。
    もし五群目の来訪があればお譲りしていただくわけにはまいりませんか?
    お手数でしたら巣箱を近辺に置かせていただければ嬉しいのですが。

    • 田中様、コメントありがとうございます。
      本文中に書きましたように高島市は自然が豊かに見えていますが、そうではありません。
      「来訪」ではなくウチの巣箱からの分蜂です。
      お譲りする場合は『その後のフォローまでも含め、継続的なアドバイスの必要性を感じている。』ので、その範囲内、あるいはアドバイスの必要がないニホンミツバチ養蜂経験者に限らせていただきたいと考えています。
      草津でしたら、信楽あたりには同好の方がいらっしゃると思いますので、探されてみてはいかがでしょうか?

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