マキノの庭のミツバチ日記(33)

分蜂群との再会

7月2日に我が庭の巣箱の群から分蜂が起こったことは既に日記(23)に書いた。梯子(ハシゴ)に上って蜂球ゲットの時、捕獲袋にズシリと来たあの瞬間の感触はまだ生々しい。その群れを、3キロほど離れた峯森さん夫婦(前記日記では、「マキノのあるお宅」)に譲渡したのだった。このご夫婦も以前は蜂球を捕らえて丸胴型の木箱に飼っていた経験があるとか。

その後、養子に行ったコロニーは生き続けているとのことを耳にしていた。その峯森さん夫婦のところに4か月ぶり、前と同じくミツバチまもり隊の小織さんとともに訪問することになった。マキノ町の山沿い、果樹園に囲まれた農業公園「ピックランド」から南方しばらく行ったところにお住まいがある。あたりは山際で、古くからの家もあり寺や神社もある静かなところ。ご夫婦は退職後にこの地で家庭農園(自家農園)を営み、米・野菜・花などの供給販売とさまざまの家畜やペットと暮らす毎日とか。農園のほか雑木林をもち、客が自然のたたずまいの中でゆっくり野菜を採り花を摘めるようにしているのが素晴らしい。玄関先には鶏のウコッケイ8羽ほどがお出迎えというか物珍しそうにこちらをながめていた。

峯森さんらとの挨拶もそこそこに、早速に巣箱のある庭先に案内される。そこは石造りの手水鉢や石灯篭の立つこじんまりした中庭になっている。縁側のそばに巣箱は置かれていて、元気にミツバチが飛び交っていた(写真)。外勤バチらが庭を抜けてまっすぐ飛び行く先は、金平糖(コンペイトウ)のような花を多数付けたママコノシリヌグイが占める草地。小川の堤や稲田のあぜなどに広がって咲いている。少し前まではキバナコスモスが主な蜜源だったとか。戻ってきた外勤バチは、時には私へ「ビビッ!」と警告音を出したり無遠慮に頭にぶつかってきたりした。「元の飼い主のおっちゃんだよ、忘れたか」と声をかけたくなったが、分蜂前にウチの庭に居た連中は、すでに何代か前の姉さん方なので今はこの世にいない(母女王は元気に生き続けているが)。ともかく、こりゃ皆さんとても元気だ、心配いらない。

箱の状態をみる。前扉を開けて内側を見ると、巣屑などはなく床はきれい。底すれすれまで伸びた巣板の塊が大きい。表面にびっしりとミツバチが付いていてにぎやかだ。峯森さんが巣門にスムシを見たとか言うのが心配材料だが、この強群だったら乗り越えるだろう。

この再会の後は、ハーブ茶をいただきながら四方山話。冬の過ごし方や寄生ダニ(アカリンダニ)への対策で保温材を巻くことなどを話し合った。お宅を辞しての帰り道、メタセコイアの並木にところどころ歯抜けのようになっているのが目に留まった。この前の台風による倒木被害の跡だった。我が家に帰り着いて、庭の巣箱の連中に「従妹たち」と会ってきたことを報告するが、ここでもあっさり無視されてしまった。(タイサク)

マキノの庭のミツバチ日記(32)

花の命は短くて

『放浪記』の作者、林芙美子の詩に由来するといわれる「花のいのちは短くて苦しきことのみ多かりき」のフレーズはあまりにも有名だ。しかし、むしろこれは人よりもミツバチ(働きバチ)の方で言いたい切実な言葉なのかもしれない(「花」を文字通りにとるとして)。花蜜と花粉に生計を頼るミツバチは、花々が季節の移ろいとともに次々寿命を終えると、新しく咲く花を求めてジプシーをやり続けなければならない。秋も深まり花も少なくなるこの時期には一層気になることであろう。

だいぶ前、たぶん10月の中頃だったか、道端に黄色い小花を付けたアメリカセンダングサがいつの間にか茂ってきた。悪名高い外来種なので本来は引き抜いて駆除する対象なのだが、思いがけずにもその花にニホンミツバチが5頭ほどたかっているのを見つけた。我が家から近いところなので、「ウチの連中」だろうか。熱心に採蜜しているのが分かり、現金なもので私はその草を駆除する気になれなかった。しかし間もなくこの道端の草は刈り取られてしまった。そのあと、マキノ駅前の花壇にサルビアの真っ赤な花が咲いた時も、数頭のニホンミツバチが来ていたが、花が枯れる頃にはいなくなった。

巣箱を置いてある庭に、妻Yがミツバチのためにと植えておいたわずかなツワブキが花を付けた。アブやアオバエがさっそく来ているが、我が親愛なるハチたちはそれを横目に見ながらも、そそくさと西側へ飛び立っていく。何か大口の蜜源があるのだろうか。それではと、私も自転車でその方角を見当に花を探しに出てみた。川べりや空き地を占拠するように咲くセイタカアワダチソウの黄色い花は、盛りを過ぎて枯れかけているのが増えてきているが、それでも数は圧倒的に多く残っていて、おそらくはミツバチの蜜源としてあとしばらくは役立つのだろう(写真1)。しかしニホンミツバチが採蜜する姿をついに見出せず。働きバチはたしかに白や橙色の花粉を次々運び込んでいるのでどこかに蜜源があるはずだが、結局見つけられずに今回の探索を断念した。

ところがその翌日の散歩の途中、浜をめぐる遊歩道の脇にイモカタバミが密生しているところに行きあわせた。その群落の中にニホンミツバチが花蜜を吸っているのを発見(写真2)。よく見ると、仲間を呼び寄せたのか近くに5、6頭の姿が見える。群れで採蜜中のニホンミツバチを久しぶりに目にして、私は嬉しくなり写真を撮りまくった。距離からしてたぶん我が家の巣箱の住人らが出張してきているのだろう。

先ほどのアメリカセンダングサ、セイタカアワダチソウといい、それにイモカタバミといい、あちこちにはびこって嫌われ警戒される外来種植物だが、この花不足の時期に盛大に花蜜や花粉を提供してくれる。我が国古来のミツバチであるニホンミツバチが外来種の植物に命を支えられるというのも、何か皮肉めいた話だ。(タイサク)

マキノの庭のミツバチ日記(31)

2つの台風に耐えて

季節外れの2つの台風、台風21号と1週間をおいて22号がやってきた。台風21号は今年初めての超大型台風といわれる。各地に残酷な爪痕を残していった。私の住むマキノ町でも、深夜、瞬間風速20メートルを超えると思われる暴風が荒れ狂い、雨量も予報通りで毎時20ミリほどの激しさ。瓦や外壁が飛ぶなどの被害が出た所もあった。かなりの地区では電柱倒壊などにより30時間ほどの停電に見舞われもした。我が家の付近は幸い瞬間的な停電ですんだが、轟音を伴う風が恐ろしく心細く感じられた。後日、すぐ近くの知内川沿いに散歩に出たとき目にしたのは、遊歩道の脇に打ち倒された太い桜の樹が数本。根こそぎえぐられて地面には2メートルほどの穴が開いている。ゾッとする光景だった(写真1)。風に弱くよく停まるといわれるJR湖西線だが、今回の台風21号では、比良駅近くの高架でコンクリート製の架線電柱が9本も折れ、2日以上の運休となった。

その嵐の襲来を受けて、庭の巣箱はとても持ちこたえられまいと私は観念した。だが風が少し治まった明け方に恐る恐る様子を見に行くと、それでも巣箱はなんとか立っていてくれた(写真2)。強風にあおられて箱も激しく揺れたのだろう、つっかえ棒が飛ばされていた。床板は雨水で濡れ放題。半月ほど前に巣箱の台座など下部を取り換えていたので、箱の継ぎ目から内側への雨水が浸み込まないかと心配だった。中にいたミツバチたちにとっては不安(?)の連続だったかも。6本の足をふんばったり、キャーと叫ぶ代わりに羽を震わせたりして耐えたのだろうか。それでも、北向きのフェンスに取り付けていた葦簀(よしず)が巣箱に当たる風を防ぐのにいくらか役立ったかもしれない。傍に立つ柿の木はほとんどの葉を削がれ、収穫前の柿の実があたりにばらまかれるように落ちていた。

2つ目の台風が去って、今朝は久しぶりの青空が現れた。いわゆる日本晴れ。2日間箱に閉じこもっていたミツバチたちは、ここぞとばかりに朝から出入りが盛んになった。晴天なのはいいが外の気温が急激に下がってきて摂氏10度を割っている。木枯らし一番が来るという天気予報も出た。この寒さで花(蜜源)はどうだろうと気になった。ミツバチにとっても「一難去ってまた一難」といったところだろうか。(タイサク)

マキノの庭のミツバチ日記(30)




秋の蜂蜜絞り

秋になり様々の花が咲き乱れて蜜源に気を使わないで済む季節になった。そこで思い立ったのが蜜絞り。庭の巣箱はまだ一度も採蜜しないままできている。試しに巣箱を持ち上げてみると20キロを超える重さだ。ミツバチまもり隊隊長の小織さんを助っ人に頼んで、私と妻との3人で蜜絞りにとりかかった。採蜜開始は朝8時。天気は曇りで、今にも降りそうな空。

巣箱は箱枠(桝状の木枠)を4段に重ねて作られており、その内側に上下方向に伸びた板状の巣の本体(巣板)が7枚、平行に並んで収められている。箱枠の隙間に細い針金ワイヤーを食い込ませ、しごきながら手前にずらして引き切っていった。これで最上部の箱枠の部分を丸ごと取り出せた(写真1、2)。切り出した断面を見ると全て貯蜜域で、貯蔵花粉もここでは見当たらない。巣箱の下の方に位置するはずの育児域が無事に避けられていることが確認できた。7枚の巣板は切断面が霜柱のように見える。その間に見える7ミリほどの狭い空間が、まさに働きバチの職場にあたる。両側にぎっしりと並ぶ食料庫や保育所の小部屋(巣房)をまわって管理や世話をしたり、仲間と口移しで蜜交換をしたりで忙しい場所だ。

匂いがミツバチやスズメバチを呼び込むのを避けるため、箱枠からの巣板の切り出しは別の離れた所で行った。きれいな蜂蜜がたっぷり詰まった7枚の巣板を切り分けて取り出していく。濃い蜂蜜を収めた巣板の表面には白いシール(蜜ブタ)が貼られている。それをはがしていくと、琥珀色の蜜のドロリとしたしたたりがまぶしい。

逃げ遅れ蜜まみれで動けなくなり犠牲となった働きバチが10頭ほど巣板の隅に見られるのはいつものこと。巣板は小さな無数の小部屋(巣房)の集合体だ。その各小部屋に小分けして蜜を収め、ある程度濃くなったら蜜ブタで封がされる。そのような工夫のおかげで、働き蜂たちは普段は蜜の洪水に襲われることはないが、人間などの勝手な巣の破壊で蜜が大量に垂れ流れると、災害みたいな事態になる。このときハチたちは、巣箱の内部の切断部の修復やこぼれた蜜の回収に大忙しのはず。

取り出した巣板をいくらか砕いたものをリード紙で敷きつめた金ザルに積み上げ、ろ過されたきれいな蜂蜜を滴下させ桶に集めていく(写真3)。気温がまだ高い今頃でも、終わるまでに丸1日以上かかる。蜂蜜収穫量は3リットル(約3.5キロ)だった。今度の蜂蜜はいつもより濃くて粘性が高い。小さじにすくって口に含むと独特の香りが広がり、濃厚な甘みに伴う風味も好ましい。

過去の採蜜の経験では、人が巣箱をいじると警戒して激しく飛びまわるミツバチの一群がいたが、今回はあまり振動を与えない静かな採蜜作業だったので、思ったほど騒がれず。日ごろスズメバチを追い払うなど世話をする私の体臭も覚えていて、略奪を大目に見てくれたというのは、ちょっと思い過ごしかも。知り合いの養蜂家からは、蜜絞りの後でミツバチ一家に丸ごと逃げられたということをよく耳にする。その恐れはたしかにあるが、見たところミツバチ一家は平静に見える。翌日になっても朝早くから花粉や花蜜を運び込んでいる様子なので、とりあえずは安心。(タイサク)

ハニーウォークのご案内です。



10月22日(日) 10:00-15:00
ミツバチを通して自然を考える
※いきものふれあい室と共催

集合場所:マキノピックランド
内容:マキノ町を散策しながら、ニホンミツバチの飼育の様子などを見学し、ピックランド周辺の自然について学びます。
対象:小学生以上
定員:20名
費用:無料

お申込み方法
参加者全員の氏名・性別・住所・電話番号・ 連絡先(携帯・メール・FAX など)をご記入の 上、
メール、fax または郵便にて、いきものふれあい室までお申込みください。

宛先:〒520-1621 滋賀県高島市今津町 今津 1758 高島合同庁舎 南庁舎2F いきものふれあい室

イベント詳細についてお問い合わせ先 9:00-16:30(事務所・水、金)

TEL 0740-33-7990
FAX 0740-33-7991
メール:info☆greenwalker.com (☆を@に変えて送信してください。)

(先着順)定員になり次第、受付終了となります。

マキノ駅前おさんぽ市

10月15日(日)11:00~14:00 出店します。

販売品目は以下の予定です。
・雑貨フリマ(どれでも100円)
・高島市産はちみつ(百花蜜)
・ミツバチまもり隊オリジナルTシャツ
・みつばちチャーム(ドリーム・だんだん)
・みつばちストラップ(ぐりーんらいと)
・ハニカム刺繍ブローチ(Hedgehog needlework)
・ガーデンハックルベリーコンフィチュール(コンフィチュール樹樹)
・「マキノの庭のミツバチの国」(尼川タイサク著)

ご来場お待ちしております!

セレマ今津駅前会館出店コーナー

9月20日(水)10:00~13:00 出店します。

販売品目は以下の予定です。
・高島市産はちみつ(百花蜜)
・ミツバチまもり隊オリジナルTシャツ
・みつばちチャーム(ドリーム・だんだん)
・みつばちストラップ(ぐりーんらいと)
・ハニカム刺繍ブローチ(Hedgehog needlework)
・ガーデンハックルベリーコンフィチュール(コンフィチュール樹樹)
・自然農法の番茶(山本農園)
・ねり梅(国産有機)
・「マキノの庭のミツバチの国」(尼川タイサク著)

ご来場お待ちしております!