植木屋タケさんの蜜蜂日誌200508

5月8日(金) 快晴

ミツバチの天敵は様々である。
弱肉強食の自然界を生き抜いていくのは、なかなか大変なことに違いない。
いつどこで捕食されるか、気を抜いてはいられない。

ツバメ、トンボ、カエル、クモ、ヤモリ、スズメバチ、、、
最大の敵がニンゲンであるのは間違いないだろうが、やはり強敵はスズメバチだ。

肉食であるスズメバチ、集団の個体数が最大になるのは9月から10月。
秋の猛攻撃を防ぐために効果的なのが、今の時期に仕掛ける、誘引液((酒・酢・ブドウジュース・砂糖等)を入れたペットボトルのトラップである。

スズメバチは冬になると女王蜂以外は皆んな死ぬ。
越冬した女王は、春に単独で巣づくりと子育てを始めるのだが、これを捕獲すると、のちに勢力を拡大する群れ全体を押さえ込むことになるわけだ。

しかし、憎むべき敵とはいえど罪は無い。
母親を殺すのは生物学的または倫理的にも問題のある行為である。
稀少なミツバチを守るためには止むを得ないのかもしれないが。。

なんにせよ、いたずらに命あるものの死を無駄にしてはいけないと、初めて「スズメバチの焼酎漬け」を作ってみた。
健康増進、虫刺されにも効くそうだ。

話が少しそれたが、ミツバチの女王がハネムーンに出かけた時に天敵に襲われることもある。
その場合には群れが女王不在となってしまい、「無王群」と呼ばれる状態になる。

「無王群」の兆候について詳しい記述は割愛するが、ウチの群れに疑いを感じたので、巣の中を確認することにした。

ニホンミツバチの巣箱は重箱式が主流である。
このタイプでは「内見(内検)」が難しいため、小さな窓が設けてあるのだが、女王を探し出すために横板をガバッと外してみた。

結局のところ、奥のほうまでは見えないので、女王を見つけることはできなかったが好奇心を満たすには充分だった。
ハチさんにとっては大迷惑だったろうが、それにしてもニホンミツバチは大人しい。
こんな無茶なことをされても攻撃するそぶりもない。

セイヨウミツバチでは煙を吹きかけて静かにさせる方法をとる。
スズメバチなら、こちらがハチの巣にされてしまうだろう笑

平和を好むこの性格、すべての生き物に見ならってほしいが、いかがなものか。

(気まぐれ不定期連載、次回に続く。)

植木屋タケさんの蜜蜂日誌200501

5月1日(金) 五月晴れ

GWを迎え、気温もグンと上昇。
ウチの群れはすこぶる元気に働いている。

春の分蜂は計4回を数えた。
(幸運にも不在中に出ていったのは無い、と思う。)
捕獲に3回成功し、
うち2群は飼育を希望する方の元へ。
1群は我が家の新しい家族に。
4群めは自然へと放した。

養蜂はブームと言えるほど愛好家が多く、飼育法についての情報収集サイトは毎日たくさんの投稿で賑わっている。

「巣箱づくりワークショップ」を企画すると人気のイベントになるが、過去の経験から巣箱を作って終わりでなく、その後のフォローまでも含め、継続的なアドバイスの必要性を感じている。
ミツバチまもり隊の限られた人材では非力であるが、できる範囲でやっていこうと思う。

家畜として数千年飼われてきたセイヨウミツバチとは違い、ニホンミツバチは本来、野生の昆虫である。
自然に放すのは良いことのはずなのだが、思い悩むところだ。

「滋賀県高島市は自然豊かなところだ。」と誰もが思うだろう。
山は緑におおわれ、清流が琵琶湖に注ぐ里山をイメージする方は多い。

しかし、野生生物にとって棲み良い場所とは残念ながら言えない。
奥山までスギ・ヒノキの人工林となってしまった暗い森にはエサとなるものが少なく、食べものを求めて降りてくる獣たちは里山の荒廃を招く。

蜜源の乏しい山はミツバチの生息域として好ましくないだけでなく、天然林に多く存在する樹洞が減少したため、巣に適した場所がない。
そのうえ熊に襲われ、生き残ることは難しい。

平野部では市街地を除くほとんどの面積が水田に占められており、農薬・化学肥料・除草剤の3点セットで微生物の死滅した砂漠のような土地である。

田植えの季節になると、代かきのためにその3点セットの浸み込んだ土が琵琶湖へと流れていく。
「母なる湖」もまた瀕死の状態であり、水生生物にも息苦しい環境となっている。

レイチェル・カーソンの「沈黙の春」が出版された1962年以来、地球環境悪化への様々な警告がなされたが、無視され続けてきた。

グローバリズム、マネーゲームに狂奔する人々は、本当に大切なものが何かを忘れてしまっている。

養蜂の主流であるセイヨウミツバチの飼育法はもちろん西洋式なのだが、それは人間による徹底した管理方法である。
病気になった蜂に抗生物質が与えられるのは牛・豚・鶏など他の家畜と同様だ。

養蜂「業」として、営利を求めるのなら、当然の帰結かもしれない。
だが、そうではない生き方も確かにあるはずなのだ。

ウイルスをゼロにまで駆逐しようとする思想が生態系のバランスを大きく崩していることに気づき、東洋的な自然観にもとづいた共生社会を目指していかなければ、人類の未来は開かれない。

自然に放したミツバチたちが無事に生きのびて欲しいと心から願う。
そして野生生物が、みずから子孫を増やせる心地よい環境に戻すのが、悪行を働いてきた人間の償いであると思う。。

(気まぐれ不定期連載、次回に続く。)

植木屋タケさんの蜜蜂日誌200417

4月17日(金) 晴れのち曇りのち雨

女王蜂の姿を映像におさめることは非常に難しい。
出かけることが稀であり、巣の中でも働き蜂に囲まれていて、見つけ出すのはなかなかだ。

おそらく何日間も巣箱の前に張り込みを続けなければならないだろう。
分蜂の時には女王がお出ましになるので、撮影のチャンスだ。
きょうは幸運にもその瞬間に遭遇することができた。

午後1時半ごろ、
巣の周りを大勢の蜂たちが騒がしく飛び回るさまは壮観だった。
スマホ動画では、その迫力が伝わりそうにないので、撮影はしていない。

やがてクスノキの枝の股に集まり始め、次第に大きな蜂球となる。
ここでいったん小休止して、新居へ向かう準備を整えるのだろう。

それをキャッチして、半強制的に待ち箱へと入居させた。
ここが気に入ってくれれば定着する。

分蜂というのは巣別れのことだが、多くの野生生物が、子どもを親のテリトリーから遠ざけるのに対し、ミツバチの場合は新女王(つまり娘)に巣を譲り、旧女王(お母さん)が出ていくところが興味深い。

新女王は、しばらくすると婚姻旅行のためオスを引き連れて出かけていく。
これがハネムーン(Honey moon)の語源となっている。

結婚式場になるのは、とある空中だ。
他の巣から来たオス蜂も大空に集まっての乱交になるらしい笑

オス蜂の集合場所はコングリケーションエリアと呼ばれる。
高い樹木の上空なのだそうだ。

「女王」蜂とはいっても、どこかの世界の女王のように権力の座に居座っているわけではない。
ミツバチの集団は「合議制」によって民主的に統率されていて、中央集権的な絶対君主は存在しないのだ。

女王の任務はひたすら産卵に励むこと。
多い時で1日に千個以上というから驚異的だ。
生涯、卵を産み続け、そして年老いて役目を終えると、オスと同じように巣から追い出される。

その寿命は3〜4年ぐらい。
働き蜂が暖かい季節には1ヶ月(過酷な労働のせいか?)、寒い冬が3〜4ヶ月ほどの命なので、はるかに長寿である。

自然のシステムは厳しくも感じられるが、無駄がなく、死を迎えるその姿は美しくさえある。

(気まぐれ不定期連載、次回に続く。)

植木屋タケさんの蜜蜂日誌200411

4月11日(土) 晴れ

満開の桜は散り始めたが、まだまだ見頃。
オス蜂の誕生から2週間近く経っているので、天気が良いと分蜂がそろそろなのではと気がもまれる。
だが、風はひんやりと冷たく、爛漫な陽気とは言いがたい。

オス蜂の姿を動画におさめようと何度か試みたが、どうにも上手くいかなかった。
きょう、ようやく3匹のオスを撮影することに成功。

ニホンミツバチは、一つの群れに数千から数万匹がいるらしいのだが、そのほとんどはメスである。女王蜂は通常1匹だけ。あとは働き蜂で、オスは交尾のシーズンだけに産まれてくる。

つまり、日々かいがいしく働いているのは全部メスで、オスは何をしているのかというと、ソノ役割だけのためにチャンスをうかがい、鋭気を養っている?のである。
役目が済むと、タダ飯喰らいとぞんざいに扱われ、やがては巣から追い出されるようだ。

その行く末は哀れでもあるが、単純明快な生き方には少しばかり羨ましさも感じる。

体はメスより一回り大きい。目(複眼)は黒々と大きく、お腹も黒く縞模様はない。
尻尾の先には針が無く、まるっとしている。したがって刺すことはなく、毒もない。
交尾器は普段は腹の中に格納されているようである。

巣門の高さが、働き蜂に出入りしやすいサイズ(6mm程度)になっているので、オスにとっては狭いようだ。というか動きはそれほど敏捷ではない。(飛行も不器用)
この巣門は、スズメバチなどの外敵の侵入を防ぐのに有効なサイズに作られていて、女王蜂にとっても通り抜けるには窮屈だろうと思われる。

ミツバチに気に入ってもらえるようにと、ウチの庭には蜜源となる花々をせっせと植えているのだが、どうも巣の近くの花にはあまり興味を示さないようだ。
いったい、どこまで出かけているのか気になるところだが、追跡は困難。

昆虫社会においてもウイルスは脅威だろうが、人間のように移動の制限や自粛などがない野生生物は、自由であるなとつくづく思う。

(気まぐれ不定期連載、次回に続く。)

植木屋タケさんの蜜蜂日誌200329

3月29日(日) 曇り時々晴れ

滋賀県高島市マキノ町は県内でも北部に位置し、その気候は北陸型である。
長い冬が終わり、花々が咲いて春本番を迎え始めたところだが、まだ少し肌寒く、ひんやりした風が吹く一日。
日が差すと忙しく飛び回る蜜蜂たちも、きょうは大半が巣の中で大人しくしている。

首都東京では大雪警報が発表され、積雪が1cmあったとか。
桜の咲く頃に雪が積もることも珍しくはないが、タイヤ交換に山菜採りと、ニンゲンの活動も蜜蜂に負けず忙しくなってくる。

巣箱の底板を掃除しようと引き出してみると、雄蜂のキャップ(巣房の蓋)が巣屑に紛れてチラホラと。
オス誕生のサインだ。分蜂がおよそ2週間以内に近づいていると予測される。

前もって待ち箱には蜜蝋を塗っておき、ペットボトルにも蜜の残った巣板片を入れておくなど、その匂いで入居を誘う仕掛けはできている。

その上、ありがたいことにキンリョウヘン(金稜辺)まで借り受けている。
蘭の一種のこの花のフェロモンが、ニホンミツバチを呼び寄せるのだ。

しかし、花の咲く時期と分蜂のタイミングを合わせるのは難しく、まだ蕾の状態。
間に合ってくれるだろうか?

きょうは外に出る蜂が少ないので、巣箱内の動画を撮ってみた。
分かりにくいかもしれないが、音量をあげれば「シマリング」という特異な威嚇音が聞きとれる。

外敵に警戒し、蜂たちが一斉にハネを震わせて音を発するのだ。
この行動はセイヨウミツバチには見られない。
彼女らは威嚇することなく、いきなり攻撃してくるのである。

蜜蜂の性格が、人間社会の「和」と「洋」の違いと似かよっていることは興味深いことだが、数千から数万匹いるとされる集団が一個の生命体であるかのように組織だって動くことには、まったくもって驚きと神秘性を感じざるを得ない。

(気まぐれ不定期連載、次回に続く。)

植木屋タケさんの蜜蜂日誌2003121

3月21日(土) 快晴

去年の今頃、我が家のニホンミツバチはアカリンダニの被害にあい、全滅した。

今年は暖冬のためか早くから活動を始め、無事に越冬、元気な様子を見せてくれている。

しかし、巣箱内部の巣板の大きさは一定で、まだ女王蜂の産卵はペースが上がっていないのだろうと思っていた。

ところがこの数日、春の陽気に蜜蜂たちの勢いが増し、巣板が底にまで付きそうな気配。
なので、急きょ本日夕方、巣箱を一段つぎ足した。

オス蜂が産まれ始めると、分蜂が近づいているサインらしいのだが、それはもうしばらく先のようだ。

コロナ騒動など、どこ吹く風。
きょうも高島市マキノ町は平和である。

(気まぐれ不定期連載、次回に続く。)