マキノの庭のミツバチ日記(7)

偏光板で空を見る

ミツバチ、空を見る

急に冷え込んだ夜の間に15センチほど雪が積もった。しかし翌日は一転して暖かくなり、早くも働きバチが花粉を運び込むのが見られた。だが、春の天気は変わりやすい。みるみる一群の雲が青空を端から食いつくしていく時もある。だが、働きバチはそれでも動じず仕事を続けていた。

ミツバチは、空に見える太陽の方向を基準にして方角を知ることができる。これは「太陽コンパス(羅針盤)」と言われるナビゲーションの一種だ。しかし、太陽が隠れている場合でも、また陽の落ちた後でも、青空が一部分でも見えれば、そこからくる光(偏光)の情報をもとに方角が分かる(「偏光コンパス」と言われることがある)。人の世界でも、この偏光を読み取る装置が航空機の方位探知用の補助装置として利用されている。

日本晴れのように雲一つない大空を見上げるのは気持ちが良いものだ。そんな時、私たちの目に見える空は青一色だが、ミツバチたち昆虫の多くはもっと複雑な空模様(偏光の模様)を熱心に読みとっている。その情報を読んで方角を知ることに生活が懸かっている動物には、ミツバチのような昆虫の他にタコ、魚に鳥など100種ほどがいる。残念ながら人間は偏光の世界を認知する点では落ちこぼれの部類に入る。ミツバチが見る壮大な天空模様はどのようなものか。想像をたくましくするよりほかはない。ただ、ある種のフイルム(偏光板という。写真の円盤)を通して見ることで、偏光のもつ角度情報を知ることはできる。

最近ではソーラーパネルの設置が盛んになり、マキノの私の家の近所にもあちらこちらに建てられている(写真)。この大きな光る建造物による環境変化は、ミツバチに何らかの影響を与えないだろうか?都会の巨大ビルには壁面が鏡のようになっているのがある。それほどピカピカではないにしても、手持ちの偏光板でパネル群を見てみると、やはりそこから空を映してしっかりと偏光が出ているのが分かる。ミツバチ達もこれにはちょっと当惑するのではないか。もしも彼女らにインタビューすることができたら、「紛らわしくなって大迷惑ですわ」とかいうのかもしれない。(タイサク)

マキノのソーラーパネル

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