巣別れの蜂群をキャッチ(その2)
ふつう、分蜂(巣別れ)は1回で済むものではない。「巣別れ」あるいは「暖簾(のれん)分け」といっても、ミツバチの場合は、まず母親女王バチが約半数の働きバチと雄バチを従えて出ていき、娘女王バチが古巣を引き継ぐ。しかし、次の女王候補(次女)が揺りかごである王台から出てきそうになると、先に生まれた女王(長女)は、かなりの数の手勢を引き連れて巣から出ていく(第2分蜂)。巣箱の政権(?)は次女に移る。働きバチの数や貯蔵蜂蜜などに余裕があればさらに第3分蜂、第4分蜂と続くことがある。
最初の分蜂から3日後、晴れた日の朝11時に、元の巣箱で2回目の分蜂(第2分蜂)が始まった。蜂球がまたも隣の家の庭木に出来た。この前と同じ杏子だが、蜂球はすこし高いところにある。同じ木の少し離れた枝に2つの塊が出来たが、20分もしないうちに1つにまとまった。定住できる新住居が決まるまでは、偵察バチが集めた物件情報をもとに蜂球内で選定が進み、多数決みたいにして最適の候補地がしぼられるといわれる。その待機時間が2日というふうに長い時もあれば、30分程度のこともある。
琵琶湖の対岸の町にいるBee組ベテランたちにも電話で知らせたところ、捕獲に行ってもよいということになった。到着までに蜂が逃げはしないかとジリジリして気をもみながら待った。そのうち、1時間半ほどかけて必殺捕獲人(?)らが車で駆けつけてくれた。蜂球は少し高い枝に止まっていたので、脚立を使う作業を余儀なくされた。枝に憩う獲物は、程なく彼らの手におち、無事巣箱の中へ保護された(写真)。
その確保された蜂の群れは、巣箱ごと湖の向こうへ持ち帰ってもらった。もともと我が家の庭のニホンミツバチは、去年の初夏に湖の対岸の地から分与していただいたものであった。その地方では、聞くところによると、昨秋、ニホンミツバチ絶滅の悲劇に襲われたらしい。主な原因は寄生ダニによる感染の蔓延らしい。そういう事情があったので、この第2分蜂群は、元の地へ失地回復のフロンティアとしてお返しすることに前から決めていた。それでめでたく里帰りが実現することになった。(タイサク)