マキノの庭のミツバチ日記(13)

ほぐれ始めた蜂球

分蜂群にみごと逃げられた(その2)

3回目の分蜂の群れを何とかしてキャッチしようと、チャンス到来を待った。初回の分蜂から1週間近く経ったある日、朝から良い天気、気温も少しずつ上がって分蜂日和になってきたので、庭先にイスを出し監視を続けた。すると午後2時頃に、またも巣箱から蜂が湧き出して分蜂開始。飛び出した蜂たちは、当面の引っ越し資金として蜂蜜をそれぞれたっぷり持ち出している。蜂蜜は代謝で蜂たちのエネルギー源になるが、その一方、体内で巣の建築素材の蜜ロウなどにも作り変えられる。

巣箱から飛び出してきた働き蜂の一頭が、腹に蜂蜜を詰めすぎたのか、ヨタヨタ飛んできて私の肩にチョコンと止まって休んで行った。ミツバチ嬢に肩を貸してやったのはこれで何度目になるだろうか。分蜂開始から10分ほど後には、庭の松の木の高所に仮の宿り(蜂球)が作られ鎮まった。止まった枝まで10メートルほどの高さがあり、悔しいがちょっと手が出ない。

夕方近くになり、このまま木の上で一夜を過ごすのだろうかと見守っていたら、4時半頃に蜂球の外側が少しほぐれるようになり、次第に周りを飛び回るハチが増えた(写真)。蜂球は5分もしないうちに崩れて散り散りになりながらも、流れる霧のように移動し、近くの山の方に向かって飛び去った。ばらばらの無秩序のようでいながら全体としてみごとにまとまって素早く移動していった。あまりの手際よい集団行動に脱帽。虫ながら、たいしたものだ!

実は、前日あたりから、松の木の下に置いた待ち箱(分蜂群捕獲のための空の巣箱)への探索バチの訪問がしばしば目撃されていたので、ひょっとして群れがそこに入ってくれるかと淡い期待を抱いた。が、結局は空振りだった。探索バチが我が庭のこのとびきり上等の住宅物件(※「個人の感想です」)の査定に来たものの、元の巣に近すぎて「落選」となったのかもしれない。かなり期待していた客が冷やかしだと分かった時の不動産店主の気持ちをつい想像してしまった。

今春の分蜂捕獲作戦は1勝2敗の結果に終わった。しかし、冬越しした元の巣箱から出て行った蜂の群れの量を試みに概算してみると、総体積で10L(リットル)分くらい(そして女王3頭)にもなるだろう。逃がしたのは残念な気もするが、難関の冬を乗り越えて、このマキノの地に健康な群れを新たに送り出すことができたのだと思うと、気持も幾分か安らいだ。(タイサク)

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