マキノの庭のミツバチ日記(15)

アカリンダニ対策~巣箱のモデルチェンジ、ついでに採蜜

日曜日の朝、琵琶湖の対岸に住むベテラン蜂飼いのIさんたち二人が来てくれた。少し前のことだが、寄生ダニのことが気になって我が庭の巣箱のミツバチを捕まえて顕微鏡で調べてみた。すると1頭の体の呼吸器(気管)に数匹のアカリンダニ(*)が寄生しているのが見つかった。近年、この寄生ダニが長野県や山梨県、当地滋賀県など各地でニホンミツバチの群れを次々と絶滅させ問題になっている。それで、何らかの手を打とうとこの二人に救援をお願いしていた。今日は、巣箱の天板と底部をアカリンダニ脅威に対応したニューモデルに取り換えることにした。木製のパーツはいずれもIさんの労作。

まず、重箱型巣箱の底部を取り換えた。新しい底部には蝶番(ちょうつがい)で扉がつけられ、そこを開けると巣くずなどを楽に掃除出来るし、手鏡を入れて下から巣の様子も観察出来る(写真1)。次に、今の重箱型巣箱4段を3段に切り詰めることにした。巣箱最上部には、網を張った「スノコ」の部屋が新たに加えられた(写真2)。ここに薄荷(メントール)の入った紙袋を置いて、上に天板をかぶせれば完成。メントールの臭いがダニをけん制してくれるといわれている。ただし、今のところ被害の兆候は出てないので、しばらくは様子を見るということにし、今回はその薬剤を入れるのは見送った。これでアカリンダニへの対応らしき準備が一応できたことになりちょっと安心した。

写真1、巣箱の新しい底部(写真1、巣箱の新しい底部)

写真2、巣箱の天井部にスノコを設置(写真2、巣箱の天井部にスノコを設置)

ついでに、取り去る1段分の箱枠から採蜜することになった。手順は、まず重箱最上段と次段の箱枠の隙間に釣り糸みたいな針金をさし入れて、反対側に引き切り、箱の中の蜜ロウで出来た巣の部分を輪切りにする。最上段の箱枠を取り出すと、内側には重なり合った巣板9枚のきれいな断面が見られた(写真3)。その面をみると蜂蜜の入り具合がよくわかる。空き部屋が目立つのは、少し前に3回も分蜂したばかりなので、貯蔵していた蜂蜜が働き蜂によって持ち出されたのかもしれない。

写真3、取り出した箱枠(写真3、取り出した箱枠)

蜂蜜の採取は、箱枠から巣板を切り出し、金ザルにリード紙を敷いたものの上に小片に割って置いておく(写真4)。巣板から蜂蜜が自然に少しずつリード紙で濾されて、下の容器にたまっていくのを待つという気長なやり方だ。この季節だと、1日半ぐらいで完了する。今回の蜂蜜は、粘性があった去年に比べ少しさらっとしている。滋賀県各地の巣箱の絶滅が伝えられる中、我が庭のミツバチたちは何とか冬を越し生き延びてくれた。そのミツバチたちがくれた貴重な蜂蜜は、一サジすくって口に含むと、ニホンミツバチ独特の心地よい香りと、酸味かかった強い甘みがしみじみと伝わってきた。(タイサク)

写真4、巣板を切り出して金ザルへ(写真4、巣板を切り出して金ザルへ)

 
* アカリンダニの写真は前号「マキノの庭のミツバチ日記(14)」に掲載

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA