ワイ、ワイ、Y-day
快晴。昨日は庭に一つあるニホンミツバチの巣箱に、今年初の分蜂が起きる「X- day」 だったが、飛び出した群れの確保に失敗した。そのつい翌日の今日(これ を「Y-day」とでも言おうか)、一日の内に思いがけず2回に及ぶ分蜂(第2分蜂と第3分蜂)が起こり、私と妻は右往左往、ワイワイと走り回らされる羽目に陥った。結局は2箱分をゲットできたのだが。
11 時過ぎに巣箱から今日最初のハチ群の噴出を発見。その群は例によって辺りをランダムに飛び回ってのち、近くの松の木 10 メートルほど上の枝に留まった。昨日と同じく手が出せないほど高い。私たちは身の無力さを毒づきながらも、ただ見上げるだけ。だが 15 分ほど経った時、蜂球が端からほどけていき、無秩序な霞 (カスミ)のように広がった。その群はゆっくり動き出し、近くの背丈の低い杏 子(あんず)の木の枝あたりにまとわりつきはじめた。ちょうど、オートフォーカ スのカメラのファインダーをのぞいた時のように焦点を結んでいき、ついに見事な蜂球が姿を現した(写真1)。
今度はほんの 2 メートルほどの高さなので、妻とともに捕獲作業に入った。杏子の枝々がいろんな方向に張っていて足場の悪いところだが、お目当ての蜂球は比較的取りやすい位置にあった。そこで、一気にポリ袋に塊を落とし込み、用意の空の巣箱にはたきこんで蓋をした。ポリ袋は巣箱の入口近くに置いた。すると袋に残っていたミツバチが続々とはい出て、吸い込まれるかのように狭い巣門から内側に入っていった。これは女王が巣箱の中に確保されている証拠で、「シメタ ッ!」と思った。あたりを飛びまわっていた迷いバチたちも次第に巣箱の中に自ら入っていった。夕方暗くなるまでこれを放置することにした。
そうこうしているうちに1時すぎになった。なんとまたも元の巣箱で群れの噴出騒ぎ。ちょうどこの時、小織さん(ミツバチまもり隊隊長)夫妻が庭に様子見に来て異常を見つけてくれたのだった。私は、分蜂がこんなに連続することがなかなか信じられなかった。巣別れした群れの行き先は、やはり高い松の木に。だがそのうちに塊がほぐれて全体は動き出した。
私たちは霞のような群れの後を追いかけた。100 メートルくらい走ったか、ごく近くの広い駐車場の土手近くまで移動したのを、小織さんの奥さんが目ざとく見つけた。大群はサンショの木の根元近くの太い枝の一点に凝結していき、大きな塊になった。静まるのを待って、小織隊長がポリ袋の中に塊を落とし込んだ。それを持ち帰って木箱の中へうまく収容できた(写真2,3;小織氏提供)。